私を探さないでください

旅に出ます。お願いです。私を探さないでください。

20世紀を動かした五つの大定理:ジョン・キャスティ 著、中村和幸 訳(講談社)

1990年代の本ですが、あせることのない内容が紹介されています。
とても勉強になりました。
数学を知らなくてもそれなりに読めますので、お勧めです。

紹介されているのは、ざっくり言えば以下の内容です。
ミニマックス定理(ゲーム理論)、
不動点定理(トポロジー)、
モースの定理(カタストロフィ理論)、
停止定理、不完全性定理(計算論)、
シンプレックス法(最適化理論)。


内容について語る知識がないので、
こころに残った記述をいくつか。

マイケル・ファラデーに当時の英首相が尋ねた
「それで何かよいことでもあるのですか?」
ファラデー答えて曰く、
「生まれたばかりの赤ん坊に何かよいことを期待できますか?
大きくなるまで待たねばなりません。」
(序文)

アクセルロッドの実験によれば、
囚人のジレンマに対する安定的戦略はしっぺ返し。
(4章 協力の美徳)

ルネ・トムのことば、
「世界中で、これほど多くの学者が計算しているときに、
一人でも夢みることができるのは望ましいことではないか?」
(9章 「破局」へのカウントダウン)

「人類は数千年もの間、計算を行ってきたにもかかわらず、
1935年においても、計算とは何か?という疑問に、
まだ十分に答えることができなかったのだ」
(10章 されど、たかが計算機)

ゲーデルが、算術の不完全性の証明にたどり着く際、
彼が最初に行った重要なことは、
数学の各分野の形式化自体が数学の対象に当然なるという、
ヒルベルトの洞察の重要性を認めたことだった」
(12章 造られたこころ)

最後のゲーデルヒルベルト
二人の天才の関係というのは、
感動を超えたなにかを感じます。