私を探さないでください

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ソフトウェア職人気質:マクブリーン(ピアソン・エデュケーション)

ソフトウエア工学は、小規模開発には適用できない。
技芸の伝承や徒弟制度に象徴される「職人気質」のやり方こそふさわしい。
この主張が繰り返し行われます。
小規模開発とは1200人月以下のプロジェクトです。
世の中のほとんどのソフトウエア開発が小規模です。


基本的に、アジャイルな内容です。
思想としては賛成です。
しかし、読み物としてはもうひとつでした。
冗長な部分が多く、ちょっとしつこい感じがします。

その中でも覚えておきたい表現を少々:

第3章
『人間の追加が良い考えかどうかを答える前に、
まず問題を正しく理解しなければならないわけです』


『ソフトウエア工学のメタファが役に立たないのは、
私たちが設計という知的作業について、
製造という機械作業ほど理解していないためなのです。』

職人気質である本質、

第5章
『技芸を実践している人が、実践を止めてしまった場合、
その時から技芸は色あせ始める。』
つまり
『技芸を他人に教えられるだけの時間的余裕を持っている者など誰もいないため、
初心者は技芸に対して弟子入りすることになるわけです。』


第17章
『組織が犯し続けている過ちとは、
優れた開発者よりも管理者に対して
気前よく報酬を支払っているという点にあります。』
続けて
プロスポーツの分野で、花形選手よりもコーチの方に
高い報酬が支払われているようなチームが
どれだけ長くやっていけるか考えてみてください。』

マクブリーンは、無駄なドキュメントを嫌います。

第4章
『(Kramer賞を取ったGossamer CondoRの設計図について)
実は「彼らの目的は設計図を作ることではなく、
8字飛行を行うためであった」ため、
設計図はグラウンドの塵と消えていったのです。』


第15章
『ドキュメントというものは、
意志決定や合議内容を記録するには非常に優れているのですが、
ソフトウエア・アプリケーションが
実際にどう機能するのかという詳細な知識を保存し、
伝達するための手段としては、
残念なことに非常に効率が悪いものなのです』

そして

エピローグ
『ソフトウエア開発は楽しくなければなりません。
そうでなければ、そのプロセスは間違っているのです。』